专利摘要:
本発明は、隣接するリンパ節を含む呼吸管の真菌感染症の予防、改善及び治療のための吸入投与に適し改良された不純物プロファイルを有する、抗真菌性アゾール誘導体、特にイトラコナゾールの新規ナノ懸濁液に向けられる。粒子状無機物汚染のない新規製剤が吸入によって安全に投与され得る。この投与経路は、従来使用された臨床投与経路、即ち経口又は非経口(静脈内)投与と比較して、改良された治療効果及び軽減された副作用プロファイルをもたらす。
公开号:JP2011513258A
申请号:JP2010548024
申请日:2009-02-26
公开日:2011-04-28
发明作者:ルントフェルト クリス;シュテッケル ハルトヴィッヒ;シェーリース ホルガー;シュリフトハール ライナー
申请人:ライナー シュリフトハールSCHLICHTHAAR, Rainer;
IPC主号:A61K9-72
专利说明:

[0001] 本発明は、吸入により抗真菌薬を投与するための新規のナノ懸濁液製剤を使用した、隣接するリンパ節を含む呼吸管の真菌感染症の予防、改善及び治療を対象とする。この製剤は、抗真菌アゾール誘導体、特にイトラコナゾールの安全な吸入に適する。従来使用される臨床投与経路、即ち経口又は非経口(静脈内)投与と比較し、さらに特に吸入投与用に適していない前述のナノ懸濁液と比較して、新規の高純度の製剤は改良された治療効果及び軽減された副作用プロファイルをもたらす。本発明は、吸入経路を介して投与可能な改良された純度の新規な生薬製剤を対象とする。厳選された製造工程により、化合物は非常に効能が高いだけでなく、改良された不純物のプロファイルにより特に安全である。更に、製造工程は最適化され、無機物汚染のない高濃度のナノ懸濁液の生産を許容し、通常は積極的に薬物を吸入できない身体障害若しくは意識不明の患者、又は幼い患者であっても、高用量の吸入投与を容易にする。]
背景技術

[0002] ほとんどの菌は日和見感染体である。これは、特に他の環境が感染症、真菌感染症の起きるリスクを高めるのを支持する状況を意味する。従って、真菌症は大部分、易感染性宿主(compromised host)内で成長する日和見菌として現れる低病原性微生物によって、引き起こされる。全身性真菌症を後押しする主な要因は、病原体とうまく戦うことができない免疫システム、即ち低下し及び/又は抑制された免疫システムである。一般に慢性疾患が免疫反応を低下させることがある一方、特定の感染が免疫反応を大きく弱めることが知られている。特にHIV感染は、真菌感染症のリスクを高めることが知られている。確かに、ディクソンらの「真菌感染症:増大する脅威」(Public Health Rep. 1996年5-6月; 111:226 - 35)によると、真菌感染症はHIV/エイズ関連死の60%の原因である。]
[0003] 現代医学も又、免疫不全又は免疫抑制患者の数を大幅に増加させている。一般的に、臓器移植に臨む患者、又は臓器移植を受けた患者は、強力で有効な免疫抑制薬剤を必要とする。又、抗癌剤(cancer medication)の多くの種類は免疫反応を妨げ、真菌感染症のリスクを増大させる。これらの患者が真菌性肺感染症の場合には、死亡率は50%に近づく(Linら、「好中球減少及び癌を有する発熱患者の間のポリメラーゼ連鎖反応に基づく方法による抗真菌療法の改善効果」、Clin Infect Dis. 2001年33:1621-7)。]
[0004] 従って、真菌感染症は、エイズ、癌、白血病、及びその他のリンパ網内系腫瘍に悩む免疫力が低下した患者、又は糖尿病、重度の肺疾患などの慢性的な全身疾患の患者に最も一般的に発症する。]
[0005] 非常に虚弱な患者グループは、極めて低出生体重で免疫力が低下し、さらに肺真菌感染症を発症する可能性がある新生児である。]
[0006] 又、有効な抗真菌薬が必要な別の集団は嚢胞性線維症に苦しむ患者である。すべての嚢胞性線維症患者のほぼ半数は、彼らの痰にアスペルギルス・フミガツース(Aspergillus fumigatus)として知られる菌を保有し、約10%は、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症として知られる疾患を発現し、抗真菌治療を必要としている。]
[0007] 真菌感染症を後押しする他の素因(pre-disposing)は、副腎皮質ステロイド患者の慢性的な治療である。確かに、喘息又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)に苦しみ、吸入ステロイド薬又は高用量経口ステロイドで治療される患者は、しばしば咽頭菌感染症又は肺を含む他の器官系の真菌感染症を患う。]
[0008] 異なる器官系の真菌感染症の発生の素因に加えて、遺伝的素因などの他の(多くの場合未知の)の原因により、上記の感染症を発症することがある。肺真菌症などの臓器真菌症は又、明らかな素因がなく発見され得る。ここで、我々は、主に鼻及び口腔、咽頭、喉頭並びに付近の肺リンパ節を含む肺である、気道の菌感染症に焦点を当てている。]
[0009] 真菌の胞子は吸入され、肺上皮及び隣接する面の粘膜の関門機能が制限されるため、隣接する空洞を含む気道、即ち鼻及び口腔、咽頭、喉頭は、真菌感染症の一般的な侵入部位である。さらに、これらの表面の高い湿度は、真菌胞子の最適な環境を提供する。発見される典型的な細菌は、アスペルギルス種、ヒストプラズマ種、アスペルギルス症、ヒストプラスマ症及びカンジダ症をもたらすカンジダ種である。その他の菌は、例えば小児癌患者さんで発見されるニューモシスチス肺炎、クリプトコッカス肺炎感染症、片肺移植後に報告されたセドスポリウムプロリフィカンス(Scedosporium prolificans)(S.inflatum)感染症、日和見真菌の臓器感染症のまれな病原体としてのクスダマカビ・ベルトレチエ(Cunninghamella bertholletiae)、及び爪真菌症(Onychomycosis)と同様に肺及び胸膜症状として報告されたブラストミセス症を含む。他の菌は又、日和見感染性病原体として機能するかもしれない。特定の菌は指定された流行地域で特徴的に発見されるが、病気は、遠隔地で最近流行場所を旅行した者に発見されるであろう。病理学的状況は紛らわしく、偽上皮腫性過形成(pseudoepitheliomatous)は、時には悪性腫瘍に似て変化する。]
[0010] 抗真菌治療の費用は莫大である。1998年には米国での費用は2.6億米ドルに達し、患者1人あたり治療費は31200米ドルの高さに達した(ウィルソンら、「全身性真菌感染症の直接コストと発生率」、Value Health. 2002年5:26-34)。]
[0011] ウェブ上で刊行された最近の研究によれば、真菌感染症は、しばしば入院の延長をもたらし、著しい経済的負担となる。経済分析によれば、このタイプの感染症患者は平均17日の入院及び62426ドルの平均治療費を示す。]
[0012] 侵入性アスペルギルス症の全体的な致死率は58%と推定されるが、感染が原発部位を超えて広がっている患者では、90-100%に近づく(本日の医学ニュース、Public Health News、2005年6月2日、http://www.medicalnewstoday.com /medicalnews.php?newsid = 25481)。]
発明が解決しようとする課題

[0013] 最近の治療法とその限界
多くの場合、真菌感染症はアンホテリシンBで治療される。この化合物は、良く経口投与可能であるとはいえず、静脈内及び吸入経路を含むさまざまな経路により投与される。しかし、アンホテリシンBは忍容性が良好でなく、いくつかの細菌はアンホテリシンBの耐性を有するか、又は耐性を持つようになる。デニングとスティーブンスの文献の1990年総説が全体的な奏功率は55%であると示すにも関わらず(デニング、D.W.、及びD.A.スティーブンス、1990. Rev. Infect. Dis. 12:1147-1201)、現在のところ、いまだにアンホテリシンBは侵入性アスペルギルス症の初期治療の最適な薬剤である。さらに、免疫不全患者におけるアンホテリシンBの治療効果は一般的に低い(G.L.マンデル、J.E. ベネット、及びR.ドリン(編)、「感染症の原理と実践」、第4版、Churchill Livingstone, Inc.,ニューヨーク、N.Y.中の、ベネット、J.E.1995、アスペルギルス種、p.2306-2311.)。]
[0014] 新規の経口アゾール薬(特に、ケトコナゾール、イトラコナゾール及びフルコナゾール)の導入は、真菌感染症の治療を大きく改善してきた。ケトコナゾールは、特定の真菌感染症で有効であると実証されてきた。イトラコナゾールは、抗真菌活性の広範な薬効範囲を持つことが発見されてきた。最後に、経口で投与されるフルコナゾールも使用することができるが有効性がほとんど無く、さらにフルシトシンはその使用を制限する高い二次耐性を有する。]
[0015] 上記した薬、特にアゾール誘導体の全身投与は気道の真菌感染症の治療に有効であるが、限られた忍容性及び副作用の高い発生に起因する多くの問題に治療は苦しめられる。例えば、以下の直接の副作用:吐き気、嘔吐、筋緊張亢進(hypertonia)、低カリウム血症(hypopokaliemia(血漿中カリウムレベル減少))、頭痛及び浮腫形成の増加などが、イトラコナゾール及びケトコナゾールのようなアゾール誘導体について報告されてきた。皮膚反応は切迫(rush)又はアレルギーのような反応に似ており、めまい及び方向喪失(diss- orientation)のような中枢神経系(CNS)に関する症状も頻繁に報告された。用量に依存すると思われる最も深刻な副作用は、肝炎、完全な肝不全及び肝硬変を引き起こし得る重度の肝毒性である。肝障害の割合は、患者の20%の高さであろう。泌尿生殖器系を含む他の臓器系への毒性も報告されている。その他の報告された重篤な副作用は、横紋筋融解症及び脂質代謝への影響を含む。]
[0016] 変化し易いことが判明している高い新陳代謝率、並びに代謝経路及び代謝酵素阻害の飽和を示す非線形動態(non-linear kinetics)は、アゾール誘導体による患者の治療を困難にする。]
[0017] さらに個々のアゾールが特定の毒性問題を有することも発見された。イトラコナゾールの吸収は、消化管機能が乱れた重病患者では不安定である。例えば、ケトコナゾールは、テストステロン生成を可逆的に阻害し、性機能の障害と勃起不全を引き起こすことがわかった。フルシトシンは水溶性で、優れた生体利用性(bioavailability)を有するフッ素ピリミジンである。それは、二次薬剤耐性の頻繁な進行のためにアンホテリシンBと組み合わせてのみ投与され、用量に依存する骨髄抑制に関連している。]
[0018] 研究によると、最も頻繁な副作用は、吐き気及び嘔吐、高トリグリセリド血症、低カリウム血症(hypokaliemia)、肝毒性及び皮膚反応を示す肝酵素レベルの上昇であった。これらの副作用の少なくとも1つは、アゾールで>4週間全身治療された患者の39%に認められた。これらの副作用は、用量の削減を必要とし、そのため効果の低減が生じ、さらにいくつかの場合では治療の中止となるであろう(グッドマン&ギルマンの治療の薬理学的基礎(JGハードマン&LEリンバード、編)、マグロウヒル、ニューヨーク10:pp1175-1190、1995の中の、ベネットJE、:抗菌剤:抗真菌薬:)。]
[0019] これらの直接の毒性に加えて、すべてのアゾール誘導体は重篤な薬物間相互作用に悩まされる。これは、これらの薬の作用メカニズムに基づいている。真菌で抑制される標的酵素は、シトクロムP450型3A4(CYP3A4)肝酵素を代謝する主な哺乳動物薬に密接に関連する。ケトコナゾール、イトラコナゾール及び他の関連する化合物を含むすべてのアゾールは、CYP3A4を中心とするP450酵素の強力な阻害剤である。これは、強力な薬物間相互作用をもたらす。例えばシクロスポリンを与えられる移植患者又は他の患者において、シクロスポリンの血漿中濃度は、アゾールで誘発されるCYP阻害のために大きく増加する。幾人かの著者は、必要とされるシクロスポリンの投与量を減らすためにこれらの薬剤を使用さえ提案する。これらの酵素阻害剤といくつかの薬物の組み合わせは、問題があると共に禁忌でさえある。ほんの数例を挙げれば、β-HMG-CoA還元酵素阻害剤と同様、ミダゾラム、トリアゾラム、チニジン(chinidin)、ピモジド(pimozid)、ドフェチリド(dofetilid)は、アゾール誘導体との組み合わせを禁忌される。血漿電解質、即ちカリウムへの影響のため、アゾールは心不全患者に投与されないことがある。]
[0020] 完全でないこのリストから見ることができるように、ケトコナゾール、イトラコナゾール及び他のアゾール誘導体による患者の治療は決してリスクなしで容易なものではない。重病患者では、状況はさらに悪化する。上記したように、臓器真菌症は、重症患者にとって特に問題となっている。従って、種々の強力な抗真菌薬が利用可能であるにもかかわらず、臓器真菌症の治療は大きな問題である。投与量を増やすことによって治療が成功した場合でさえ、副作用のプロファイルは、毒性が生じる全身アベイラビリティ(systemic availability)を減らすため、投与される用量の低減を要求する。]
[0021] 副作用を減らすための理論的アプローチは、全身の薬物暴露を低減しながら局部的な薬物濃度を増加させるよう、様々な投与経路を選択することである。薬物送達の代替方法を利用する最も広く検討された薬物は、アンホテリシンBである。この薬物の投与形態は、外用剤形(エアロゾル、スプレー式点鼻薬、潅注({かんちゅう}(irrigation)、ペースト、吸収スポンジ、含浸骨セメント及びゼラチン)、経口剤形(溶液、懸濁液、錠剤など)及び眼科用剤形(点滴薬、軟膏及び注射)を含む。アンホテリシンBは、経口、気管支内、髄腔内、嚢内{のうない}、関節内、腹腔内、眼、及び抗生物質'ラインロック(line lock)'のような経路で投与されている。又、ニスタチンはエアロゾル、経皮ペースト、膀胱洗浄として投与されている。]
[0022] しかし、ミコナゾール、フルコナゾール、ケトコナゾール及びポサコナゾール(posaconazole)のようなアゾール誘導体は、それ程の重要性はなく、他の方法で投与されてきた。これは、アゾールの物理化学的性質に基づいている。アンホテリシンBは水溶性であり、ニスタチンの場合と同様にエアロゾルとして投与されることができる。ミコナゾール、フルコナゾール、ケトコナゾール、ボリコナゾール及びポサコナゾールなどのアゾールの、エアロゾルとしての投与は有効でないと想定されてきた。これは、これらの化合物が極めて水に溶け難く、可溶化剤を用いても、エアロゾルとして投与されるような液剤とすることができないためである。]
[0023] 微結晶(microcrystalline)又はナノ結晶(nanocrystalline)の懸濁液の生成を伴う代替製剤が文献に記載されているが、市場に出回ったか、積極的な開発を行ったものはない。]
[0024] 吸入投与については、任意の剤形の組成に関して特別な注意が必要とされる。これは、吸入後に不溶性粒子を取り除くには、肺の容量と能力が非常に限られているためである。このような不溶性(無機)粒子を取り除く能力の不足は、特に長期暴露のような深刻な問題につながる可能性がある。この問題は、例えばアスベスト粒子又はディーゼル排気について、及び多数の科学論文に示される他の不溶性粒子について記述されているように、癌誘発又は癌促進を含む(バルバーグ PA、ワトソンAY. 「報告された肺ガンのリスクレベルと職業固有のディーゼル排気暴露との間の一致の欠如」、lnhal Toxicol. 2000年、12(suppl 1):199-208)。又、慢性肺炎及び組織破壊が記載されている。このような破壊的影響の例は、ケイ酸粉塵の高負荷にさらされる従業員に見られる珪肺(silicate lung)である。]
[0025] Oberdorster G, Oberdorster E, Oberdorster J.、「ナノトキシコロジー(Nanotoxicology)、超微粒子の研究から発展した新たな規律」、Environ Health Perspect ,2005; 113:823-839の総説にあるように、近年、ナノ結晶不溶性粒子の予期しない高い関連性及び毒性が記載及び特徴付けられている。著者らは、吸入すると、拡散機構及び気道のすべての部位の貪食によって特定サイズのナノ粒子が効率的に沈着されると説明する。サイズが小さいことは、細胞への取り込み、及び上皮細胞及び内皮細胞を通って血液及びリンパの循環に入るトランスサイトーシス(transcytosis)を促進し、骨髄、リンパ節、脾臓、及び心臓などの潜在的に敏感な標的部位に到達させる。軸索及び神経細胞の樹状突起に沿った移動(translocation)による、中枢神経系及び神経への接近も観測されている。最初の反応が炎症性である肺組織への不溶性ナノ粒子の直接的な影響に加え、全身に影響を与えるこれらの結果が見られている。微結晶又はナノ結晶製剤が、慢性吸入にそれらが使用されるのに実際に適切かどうか、又は関連する健康上のリスクをそれらがもたらすかどうかについて判断されるべき場合に、この情報の背景が考慮される。]
[0026] 不溶性粒子が吸入によって投与される場合、製剤中に種々のサイズからなる結晶から成る製剤の標的を次のように定義することができる:
製剤は、肺に、吸入及び沈着可能な適切な粒子又は液滴を含む必要がある。周知の事実によれば、1〜5μmの質量中央空力直径(mass median aerodynamic diameter)を持つ粒子又は液滴により肺沈着が最高に達する。さらに、小さな結晶の生成は、活性化合物が溶解できるよう化合物の表面積を高めるために指定される。溶解した化合物のみが組織の生物学的標的に到達し、生理活性を持つことができるのは常識である。最後に、選択された製剤は取り扱いが容易で安定である必要があり、許容時間内で高い組織レベルに到達するのに十分な適切な用量でこれらの製剤を投与するために使用可能な装置(device)が入手できる必要がある。ナノ粒子、不溶性(無機)粒子の特殊毒性の知識にも関わらず、潜在的な粒子の不溶性汚染に関し、製造工程及び得られた製剤を制限する参考文献は今まで作成されていない。しかし、特に、活性化合物の意図した粒子サイズを達成するために粉砕工程が使用される場合に、このような汚染が非常に予想される。]
[0027] 例えば、湿式粉砕は、適切な粒度分布を持つ均一なナノ懸濁液を得るための方法として使用される。良好な粉砕を成功させるには、非常に硬い表面を有するビーズが一般的に使用される。適切な材料は、2〜3例を挙げると、鉄鋼、ガラス、又はジルコニウム酸化物であってよい。高密度な表面にもかかわらず、これらの粉砕(milling)ビーズは使用時、即ち有効成分が粉砕される粉砕工程だけでなく、(それほどではないにせよ)粉砕ビーズが部分的に摩耗する間、激しく摩耗する。これは、これらビーズで形成されるあらゆる懸濁液に粉砕ビーズの磨耗が相当な量含まれることをもたらす。例えば、酸化ジルコニウムビーズの仕様によると、1回の粉砕工程で、摩耗はビーズ材料の3-6%の規模であり得る。鋼及びガラスビーズについて、割合はさらに高く、要求される粉砕時間に応じて粉砕ビーズ重量の10%まで達し得る。平均では、使用する材料と粉砕時間に応じ、磨耗は粉砕ビーズ重量の3-10%の範囲内であり得る。適切なナノ粒子を生成するのに役立つ他のプロセスは、粒子状不溶性物質の汚染による同様のリスクに悩まされる。この結果は相当な健康上のリスクである。それぞれのナノ懸濁液が限られたリスクで十分に経口摂取される一方で、肺からの不溶性無機粒子の除去が低いため、吸入は別に判断されるべきである。]
[0028] 高圧均質化などの他の手段は、これらの手段が典型的に全体積のほぼ5% (w/w)程度又はさらに低い低固形分割合で得られる低粘度の出発懸濁液を必要とするため、肺真菌症の高用量治療のために要求される高濃度のナノ懸濁液を製造することができない。更に、これらの方法は、表面摩耗にも悩まされる。実際には、高圧均質化によって到達される活性化合物の可能な最高濃度は約5%の範囲内であり、肺感染症に悩まされる患者に十分な量の投与をすることを妨げている。1投与当たり約100 mgの抗真菌薬の投与が肺に沈着され、さらに、吸入薬の最大沈着は、霧状の(nebulised)薬の30%の範囲内(残りは飲み込まれ又は吐き出される)であることを考慮すると、投与時間が容易に計算されることができる。"パリボーイ(Pariboy)"などの標準的な噴霧器は、20分以内に3mlの液を噴霧することが可能である。患者が毎日、又は1日当たり2〜4回行うことが可能な、許容できる吸入時間は15〜20分の範囲であろう。これらの数字に基づいて、我々は10%の薬物懸濁液を使用し、20分間で300mg噴霧すると、90mgが肺に沈着されることが期待できることを計算できる。5%懸濁液を使用する場合、時間を2倍にする必要があり、これは毎日の治療にはほとんど許容できない。この簡単な計算は、低濃度(5%以下)製剤に比べて、10%又はそれ以上の高濃度の懸濁液が経口吸入に適していることを示す。]
[0029] 国際公開公報WO2004/060903 A2は、抗真菌剤を含む噴霧製剤処方の肺への到達を含む、肺真菌感染症に対する治療方法及び/又は予防の提供を記述する。抗真菌剤、例えばアゾール誘導体は、粒子の直径3μm未満の微粉化された形態で使用される。粒子は、超臨界流体処理法、低温粉砕、湿式粉砕、超音波、高圧均質化、ミクロ流動(microfluidization)及び結晶化プロセスなどの適切な破砕(size reduction)プロセスを使用して得られる。ただし、国際公開公報WO 2004/060903 A2は、安全な生産及びナノ懸濁液の使用について言及せず、特に無機の不溶性汚染に対応していない。得られた製剤の安全性と忍容性を表示する安全性データは示されていない。]
[0030] ドイツ連邦共和国特許出願公開DE101 45 361 A1は、吸入のための液体及び滅菌調製品を準備する方法を記述し、この方法は水にほとんど溶けない活性剤の水性懸濁液を調製し、活性剤の粒子径を低減し、及び加熱滅菌することを含む。粒子径の低減は高圧均質化を使用して行われ、後半には粒子径が500 nmから2μmの範囲となる。しかしながら、このような粒子は急速に沈降し、本書に記述されるナノ粒子製剤に比べて噴霧効率が低下するため、この粒子サイズはアゾール誘導体などの難溶性活性剤の吸入にとって次善のものである。又、薬物の溶解を早めることは、500 nm未満に粒子径をさらに低減することによって得られる。より大きな粒子を使用すると、液滴のわずかな部分のみが化合物を含むことができる一方、ナノ粒子を使用すると、2-5 nm又はそれ未満の直径で吸入のために形成されるほとんどの流体液滴が活性原料を含むこともできる。これは、10%懸濁液では平均液滴が10%活性物質を含み、そのため90%の液を含む必要があるためである。さらに、この製剤の安全性及び忍容性が示されていない。]
[0031] 米国特許出願公開2005/0048126 A1は、通常、その薬剤に耐性があると考えられる細菌(organism)に対する効果を該薬剤に与える、抗菌剤のサブミクロンからミクロンサイズの粒子の水性懸濁液の組成を記述する。具体的には、抗菌剤は、約150 nmから約1μmの範囲の粒子径で投与されるアゾール誘導体であってよく、この粒子径は、高圧均質化、又はジェットミル粉砕、パールミル粉砕、ボールミル粉砕、ハンマーミル粉砕、流体エネルギー粉砕若しくは湿式粉砕技術などの機械的粉砕を使用して得られるであろう。好ましい洗浄剤(detergent)は、有効成分に比べて10%の濃度で加えられたポロクサマー(poloxamer )188であると決定される。又、生体内(in vivo)での忍容性又は安全性の示唆は与えられていない。]
[0032] この概要に基づき、真菌感染症の気道内での局所治療を目指し、アゾール誘導体の結晶製剤の多数の様々な選択が記述されているが、これらの製剤のいずれも吸入投与に最適でなく、無機汚染に関して十分に純粋でなく、適切な直径に十分粉砕されておらず、400 nm以下のサイズに十分に粉砕されておらず、10%又はそれ以上の範囲で濃度に十分に濃縮されていないことが明らかである。]
[0033] 発明の詳細な説明
上記に鑑み、低溶解度の抗真菌薬を投与するために吸入目的で使用することが可能な、安全で高濃度の製剤への要求が依然としてある。このような製剤は有効なだけでなく、特に安全でかつほぼ完全に不溶性無機粒子の汚染が無いものでなければならない。]
[0034] 従って、本発明の目的は、上記の欠陥を少なくとも部分的に克服する医薬組成物を提供することにある。特に、この医薬組成物は、次の目標を実現する:
・高用量投与のための短い吸入時間を可能とする高濃度(10%又はそれ以上)
・薬理学(予防又は治療)効果を高めるための高気道沈着
・全身暴露を減らし、肺での作用持続時間を向上させるための肺内残留
・全身暴露を減らして全身の副作用を少なくするための全身吸収後の迅速な代謝
・貪食されてリンパ組織に運ばれてきた菌を除去するため、製剤はさらに、口腔咽頭領域及び肺組織だけでなく隣接する肺リンパ組織にも到達可能である必要がある。
・特に長期使用及び反復投与について、製剤は、高い安全性があると共に優れた局所忍容性を示す必要がある。
・製剤が吸入された後、おそらく粉砕プロセス又は均質化処理に由来する無機不溶性残留物の形の無機残留物、及び特にナノ結晶粒子は許容されない。]
[0035] この目的は、活性剤としての少なくとも1つの抗真菌性アゾール誘導体、任意の薬学的に許容できる希釈剤及び/又はアジュバントを含む吸入投与用医薬組成物であって、前記医薬組成物は、<10000μg/Lの無機粒子不純物を有し、かつ
a)少なくとも1つの抗真菌性アゾール誘導体、並びに任意の薬学的に許容できる希釈剤及び/又はアジュバントを準備し、及び
b)パールミル、及び少なくとも1つの有機材料から成る滑らかな粉砕ビーズを用いて、前記少なくとも1つの抗真菌性アゾール誘導体、並びに前記任意の薬学的に許容できる希釈剤及び/又はアジュバントを湿式粉砕する:工程を含む方法によって得られることを特徴とする医薬組成物を提供する本発明に従って達成された。]
[0036] 本発明によれば、抗真菌性アゾール誘導体は、例えばナノ結晶乾燥粉末のようなナノ結晶粉末の形で、又は結晶又は非晶質粒子のナノ懸濁液の形で存在してよい。ナノ懸濁液の場合、ナノ懸濁液の調製の結果として、粒子は完全に又は部分的に非晶質であってもよい。]
[0037] 好ましい実施形態では、前記抗真菌性アゾール誘導体は、前記医薬組成物中に約50nmから約400nmの範囲、好ましくは約100nmから約300nmの範囲、最も好ましくは約150nmから約250nmの範囲の平均粒子径を有する粒子の形で存在する。好ましくは、前記抗真菌性アゾール誘導体の粒子はさらに、多分散性指数(polydispersity index ;PDI)で示される狭いサイズ分布を示す。PDIはナノ粒子のサイズ分布を記述する。理論値は0(各粒子が同じ大きさ)と1(均一粒子分布からの最大偏差)の間である。ナノ粒子の低い多分散性指数は、的を絞られ、再現性があり、及び制御された肺分布、並びに肺の細胞、炎症細胞及び真菌細胞への取り込みだけでなく、最適な化合物の放出を保証する。]
[0038] 従って、本発明の好ましい実施形態では、前記抗真菌性アゾール誘導体は前記医薬組成物中に、≦0.3、好ましくは≦0.25、最も好ましくは約0.2の多分散性指数を有する粒子の形で存在する。]
[0039] アゾール誘導体のナノ粒子、例えば結晶粉末又は懸濁液、例えば結晶懸濁液又は非晶質及び/若しくは結晶のナノ懸濁液、の吸入は咽頭と肺組織への高い暴露をもたらす。従って、吸入によるアゾール誘導体の投与は有効であり、全身又は経口投与に比べて非常に有利である。]
[0040] おそらく化合物の溶解度が低く、ナノ粒子の大きさが400nm以下であるため、我々は思いがけなく、抗真菌性アゾール誘導体の結晶及び/又は非晶質のナノ粒子が肺の中で持続性薬剤(depot)を形成し、さらにゆっくりと肺の組織に放出されることを見出した。この化合物は又、自身の高タンパク質結合特性のため、可溶化の後に肺の組織内に保持される。双方の効果が肺内残留をもたらす。さらに薬の性質に起因して、投与された粒子は貪食によって免疫細胞に組み込まれてリンパ節に運ばれ、そこで放散されて局所リンパ節への高暴露をもたらす。真菌皮下注射(fungal hype)及び真菌細胞は貪食されて局所リンパ節に運ばれ、そこでそれらが再び放出可能であるため、この二重の効果である口腔咽頭領域(口腔、鼻腔、咽頭及び喉頭)並びにリンパ節の組織を含む肺組織への暴露は重要である。]
[0041] 吸入により、アゾール誘導体が結晶又は非晶質ナノ粒子として肺に直接投与された場合、気道の真菌感染症の局所治療の成功の基準を満たす。口腔咽頭及び気道への高い暴露が保証可能な間、肺からの吸収は遅くなって全身アベイラビリティを低減する。この全身暴露の減少は、全身に有効な(available)化合物の急速な肝代謝に起因してさらに減少する。肺内残留及び肺組織への高い暴露は、経口又は静脈内投与に比べて総投与量をさらに減らす。貪食によって粒子が免疫細胞に組み込まれ、リンパ節に運ばれるという今まで知られていなかった特性は、真菌が免疫システムにも侵入するため、肺真菌症の治療のために特に興味深いものとなる。このメカニズムは、このような懸濁液の優れた薬理学的特性を説明するのに役立つであろう。]
[0042] 本発明に従う医薬組成物において、前記抗真菌性アゾール誘導体は、該医薬組成物の総重量を基にして、約10%(w/w)から約30%(w/w)の濃度、好ましくは10%(w/w)から20%(w/w)の濃度、最も好ましくは12%(w/w)から18%(w/w)の濃度で存在していてもよい。]
[0043] 前記医薬組成物は、例えば、コナゾール(conazole)又はUR-9746及びUR-9751などのアゾール誘導体を含むN-アシルモルホリン環であるアゾール誘導体の投与に特に適する。好ましくは、前記抗真菌性アゾール誘導体は、塩、エステル又はアミドなどの薬学的に許容可能なそれらの誘導体を含む、ケトコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール、ポサコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ミコナゾール、オキシコナゾール、テルコナゾール、チオコナゾール、スルコナゾール及びラブコナゾールの群から選ばれる。特に好ましい態様において、抗真菌性アゾール誘導体はイトラコナゾールである。]
[0044] 前記医薬組成物は、さらに薬学的に許容可能な担体、希釈剤及び/又はアジュバント(adjuvant)を含むことができる。好ましい薬学的に許容可能な担体は、例えばラクトース一水和物、無水ラクトース、グルコース、トレハロース及び/又はマンニトールから選択されてよい糖(saccharide)又は糖アルコールである。好ましい薬学的に許容できる希釈剤は、水、水性緩衝液、又はそれらと生理的に許容可能なアルコール、例えばエタノール、プロピレングリコール及び/又はグリセロールなど、との混合物である。好ましい薬学的に許容できるアジュバントは親水性高分子であり、それは例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール及び/又はポリビニルアルコールから選ばれる。]
[0045] 好ましい態様において、前記組成物は、薬学的に許容できるアジュバントとして、好ましくは非イオン性界面活性剤である界面活性剤を含む。界面活性剤の例は、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体、ポリソルベート、レシチン、リン脂質、ポリエチレングリコールエステル又は脂肪酸及び/若しくは脂肪アルコールのエーテルである。好ましくは、前記界面活性剤は、例えばポリソルベート80であるポリソルベート、例えばポロクサマー(poloxamer)188であるポロクサマー、ソルトル(登録商標Solutol)HS15、又はそれらの任意の組み合わせである。]
[0046] 好ましい実施形態において、本発明は、前記少なくとも1つの抗真菌性アゾール誘導体及び界面活性剤を、10:1〜1:1の間の質量比で含む医薬組成物を提供する。好ましくは、前記医薬組成物は、前記抗真菌性アゾール誘導体及び界面活性剤を10:1〜10:2の間の質量比で、最も好ましくは約10:1.4の質量比で含む。]
[0047] アゾール誘導体の吸入投与のため、以下の製剤及び技術が特に好ましい。]
[0048] 乾燥粉末製剤
標準的な乾燥粉末吸入技術を用い、組成物が投与されてもよい。この目的のため、前記活性薬剤と少なくとも1つの界面活性剤とを上記した比で含むナノ懸濁液が噴霧乾燥されて乾燥粉末を形成する。乾燥プロセスは粒子構造を保持し、即ち結晶粒径分布が懸濁液内と同じまま残る。この粉末は、一般に乾燥粉末吸入製剤と共に使用されるラクトース又は他の担体、及び賦形剤{ふけいざい}などの適切な担体と混合されることができる。組成物は、例えば適切に記述されたシクロヘイラ(Cyclohaler)、スピンヘイラ(Spinhaler)又はロタヘイラ(Rotahaler)装置である、通常の乾燥粉末吸入装置によって投与されてもよい。しかし、他の適切な装置も使用されてもよい。吸入用量は、例えば個々の吸入毎に10mgの範囲内であることができる (Srichana Tら、Eur J Pharm Sci. 1998, 7:73-80)。]
[0049] 乾燥粉末吸入器の使用は又、食道感染症を含む口腔咽頭真菌感染症を治療するために有効な方法である。このような装置の特性により、有効成分の10〜30%が肺に達する一方で、70〜90%は咽頭に堆積して飲み込まれる。このことは、食道感染を含む口腔咽頭感染の有効な治療を可能にさせる。さらに、この治療法は、口腔咽頭場所(site)から肺又は消化器系への感染のまん延を防止する肺及び消化器系の予防的治療として役立つ。]
[0050] ナノ懸濁液(Nanosuspension)
ナノ懸濁液を得るため、上記した結晶及び/又は非晶質ナノ粒子は、例えば、粒子を沈降から防止しかつ懸濁液を安定させるための上記のような懸濁安定剤(suspension stabilizer)及び/又は添加剤を含む水性製剤である、適切な担体媒体中に懸濁させられる。この前(pre-)懸濁液の調製は、製造工程の不可欠な部分である。この懸濁液は10から最大30%、好ましくは最大20%の活性化合物、即ちアゾール誘導体を含み、さらに約2μmから約5μmの範囲内の平均(median)液滴径を有するエアロゾルを生成するため、圧縮空気、超音波を利用してよいネブライザー(nebuliser)装置、又は振動するメッシュを用いて投与されてもよい。これらの液滴はナノ結晶を含んでいる。ナノ結晶懸濁液を生成する一般的な技術は、文献によく記載されている。薬のナノ懸濁液を生成する一般的な方法は、Jacobs, C, (様々な用途のためのナノ懸濁液、ベルリン自由大学、論文2004、化学及び薬学学科, http://www.diss.fu-berlin.de/2004/329/indexe.html) 及び幾つかの他の刊行物(例えば、Moschwitzerら、ナノ懸濁液技術を用いた静脈注射可能で化学的に安定な水溶性オメプラゾール製剤の開発、Eur J Pharm Biopharm. 2004;58:615-9を参照)に開示された、高せん断又は高圧均質化の技術によるものがある。]
[0051] 本発明の目的を達成するため、水中に懸濁されて上記の界面活性剤及び/又はポリマーの1つと安定化された結晶性薬剤粒子に、高圧均質化がテスト及び適用された。ホモジナイザーを通していくつかのパス(pass)が適用されなければならなかった一方で、結晶性抗真菌薬の懸濁液が500から1500barの間の圧力で均質化された場合に、平均粒径400-600 nmのナノ懸濁液が得られた。]
[0052] 高圧均質化によって得られる可能性のある製剤は、最大5%(w/w)の結晶性抗真菌剤、例えばポリソルベートである1%(w/w)の界面活性剤、及び水を含み、さらに1000barの圧力で高圧ホモジナイザーを10〜20回通され、その結果として約400 nmの粒径、又は使用される界面活性剤に応じ、狭い粒径分布を有する400-600 nmの粒径が得られる。]
[0053] しかし、ナノ懸濁液の生産のための高圧ホモジナイザーの使用による、2つの重大な欠点が関係する。1つは、高濃度の懸濁液、即ち> 5%(w/w)、さらには10%(w/w)を超える固形分を有する懸濁液へのこの技術の適用に限界がある。吸入を介して投与される思春期又は大人の患者のための臨床用量は、1日に1〜4回投与されるため好ましくは100 mg又はそれ以上の範囲であり、吸入にかかる時間に比例した吸入量を低減するために有効成分の濃度が高いことが要求され、さらに5%を十分に超える必要がある。2つ目の欠点は、得られる粒子が未だに比較的大きく、400 nm以下の粒子径に達しないことである。]
[0054] 対照的に、本発明に従う医薬組成物は、少なくとも1つの抗真菌性アゾール誘導体、任意の薬学的に許容できる希釈剤及び/又はアジュバントを用意し、続いてパールミル、及び少なくとも1つの有機材料から成る滑らかな粉砕ビーズを用いて、前記少なくとも1つの抗真菌性アゾール誘導体、並びに前記任意の薬学的に許容できる希釈剤及び/又はアジュバントを湿式粉砕することにより調製される。この方法によれば、400 nmを大幅に下回る平均粒径を達成することが可能なだけでなく、最大30%さらには30%(w/w)以上の濃度の抗真菌性アゾール誘導体を有する組成物を提供することが可能である。]
[0055] パールミルは、普通の(indifferent)粉砕媒体(media)、特にガラス、鋼又は酸化ジルコニウムから製造された粉砕ビーズで満たされた粉砕チャンバから基本的に成る。無機材料から成る粉砕ビーズがもたらす問題は、無機粒子(即ち、ガラス、鋼又は酸化ジルコニウム粒子)の摩耗である。この粒子は慢性肺炎症を引き起こし、そのうえ肺癌をもたらすであろうことが知られているので、吸入製剤にとってこのような摩耗は受け入れられない。]
[0056] 予想外に、少なくとも1つの有機材料から成る粉砕ビーズは、吸入による投与のための医薬組成物を製造するのに特に適していることが現在わかったが、この組成物は長期治療にとっても安全である。有機材料は、本発明に従う方法に適し、例えば、有機ポリマーである任意の有機材料であってよい。有機ポリマー、特にポリスチレンとポリカーボネートとから成る粉砕ビーズは、滑らかで柔軟な表面を有し、そのため非常に少ない摩耗を示すため、好ましい媒体である。更に、不溶性の無機摩耗が生じない。これは、使用される材料及び粉砕回数に応じ、磨耗が粉砕ビーズ重量の3-10%の範囲内にあることができるため、重要である。その結果、本発明に従う医薬組成物は、<10000μg/L、好ましくは<5000μg/L、最も好ましくは<2500μg/Lの無機粒子不純物を示す。]
[0057] 一般に150-650ミクロンの範囲の大きさを有する粉砕ビーズは前記粉砕チャンバに充填され、粉砕チャンバの回転によって、又は粉砕チャンバが固定されたものの場合は攪拌装置によって移動される。抗真菌薬は、上記のように安定剤の存在下で例えば水である媒体に分散された後、粉砕チャンバに添加される。混合物を約60分から約360分間、好ましくは約120分から約240分間湿式粉砕した後、狭い粒径分布を有し、粉砕ビーズの磨耗から生じる不溶性無機材料のその他の(otherwise)一般的な汚染の無い、均一な高濃度ナノ懸濁液が得られる。一般に、このナノ懸濁液の薬剤含有量は、20%(w/w)から30%(w/w)であることができ、又はそれ以上である。粉砕された粒子を安定させるために必要な界面活性剤濃度は、製剤原料に対して一般に5〜100%である。]
[0058] 本発明の目的を達成するための典型的な製剤は、水又は生理的緩衝液などの媒体中に、5-30%(w/w)、好ましくは10-25%(w/w)、より好ましくは20%(w/w)の抗真菌性(活性)薬、製剤原料に対して約5-100%(w/w)、より好ましくは約10-25%(w/w)の界面活性剤(例えば、ポリソルベート80)を含み、この懸濁液はポリスチレン粉砕ビーズを用いたパールミル中で240分間粉砕され、狭い粒径分布を持つ150-250 nmの平均粒径となる。粉砕時間は120分から360分に変化する可能性があり、120分後にすでに良い結果が得られた一方で、240分を超えてさらに粉砕しても粒径分布はさらに改善しなかった。しかし、粉砕時間は使用される装置に関連し、必要な懸濁液を得るために必要に応じて装置に適合させてよい。]
[0059] 本発明の目的を達成するための同様に典型的な製剤は、同量の活性化合物及び水を含むが、ポリソルベート80の代わりに、製剤原料に対して好ましくは約5%(w/w)から100%(w/w)で、有効成分に対して同等の量のポロクサマー188を含む。これらの典型的な界面活性剤は単独又は組み合わせて使用されることができる一方、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール又はポリビニルアルコールを含むがこれらに限定されない親水性ポリマーなどの他の懸濁液安定剤、並びに上記した他のアジュバント及び界面活性剤も適している。ポロクサマー188とポリソルベート80などの界面活性剤の組み合わせが用いられる場合、ナノ懸濁液の安定性、粒径、又は粒径分布を損なうことなく、各界面活性剤の個々の濃度がさらに低減されることができる。組み合わせに関して、各界面活性剤の相対的な割合は、他の界面活性剤に対して10%(w/w)から100%(w/w)に分布することができる。組み合わせの界面活性剤の総量は、安定性と必要な再懸濁(re-suspension)性とに応じ、活性製剤原料に対して5%(w/w)から50%(w/w)に分布することができる。懸濁液の安定性と均一性が重要である一方、結晶成長の防止は、添加される界面活性剤によって達成される追加的な目標である。結晶成長は、有効成分の可溶性画分に由来する。イトラコナゾールについて、ポリソルベート80が単独で、又はポロクサマー188と組み合わせて使用された場合、最小の結晶成長が発見されることができる。]
[0060] 上記したナノ懸濁液が20%(w/w)の活性化合物を使用して調製される一方、同様に5%(w/w)の化合物を含む懸濁液を使用して別のバッチで粉砕工程が実行された。これらの実験では、界面活性剤の量も活性化合物の低減に応じて比例して低減され、活性化合物の10〜100%(w/w)の範囲内、即ち、全体積の0.5%から5%に保持された。これは、同様の粒径分布をもたらした。これらの実験は、界面活性剤の量及び活性薬剤量などの要因は、最終的な臨床ニーズに合うよう選択される一方で、工程が非常に安定し簡単に拡張可能であることを示す。]
[0061] 例えば20%の活性アゾール化合物を含む、得られたナノ懸濁液は、肺適用の必要性に浸透圧を適合させるため、脱塩水、又は生理食塩水若しくは高浸透圧性食塩水などの塩溶液と希釈されることができる。実際に、280〜360 mOsmolの範囲内の浸透圧を有する懸濁液を得るため、既に粉砕工程の間に塩が追加されてもよい。希釈率は、1:0.5から1:10の範囲内であることができ、即ち、例えば2 mlの20%懸濁液に、1から20 mlの溶媒が添加されてもよい。上記した塩防腐剤に加えて、溶媒(薬学的に許容できる希釈液)は、患者の医療ニーズに応じて共同薬(co-medication)として投与される必要がある界面活性剤又は他の医薬活性剤を溶液中に含んでよい。]
[0062] 溶媒又は薬学的に許容可能な希釈液は、浸透圧を調整するための水又は塩溶液だけではないであろう。同様にpHは、リン酸緩衝液、トリス緩衝液又は類似の緩衝液などの薬学的に許容可能な緩衝系を使用して調整されてもよい。pHは生理的範囲、即ち7.0から7.6、最も好ましくは7.4に調整されてよい。細菌の増殖を防ぐため、クエン酸又は類似の生物学的に許容できる弱酸を用い、pHが同様にわずかに酸性に調整されてもよい。塩と同様に、粉砕前に緩衝液の成分が添加され、粉砕工程を乱すことなく粉砕工程を通して緩衝液の成分が存在してもよい。しかしながら、それらはまた、粉砕後で吸入前の希釈段階で添加されてもよい。]
[0063] 上記した全ての懸濁液が水性である一方で、粉砕工程の間に又は希釈段階のために使用される薬学的に許容可能な希釈液は、水と生理的に許容可能なアルコールとの混合物であってもよい。アルコール含有量は、0.1%から30%(v/v)に及んでよく、好ましくは3から10%(v/v)の範囲内であってよい。]
[0064] 得られたナノ懸濁液は、熱によって(即ち、オートクレーブ)滅菌されてもよい。その代わりに、ナノ懸濁液は無菌処理を使用して製造されてもよく、又は放射線滅菌されてもよい。工程の性質、即ち、細菌の平均的大きさをはるかに下回る粒径への強力な粉砕に起因して、病理学的細菌(pathological germ)は既に破壊される。細菌の増殖を防ぐため、文献に公知な保存剤が添加されてもよい。]
[0065] すべての得られた懸濁液は、均質で、室温で安定である。界面活性剤の量及び有効成分の量に応じ、懸濁液の上部の水相がゆっくりと分離するのが数日から数週間で観察され得る。この分離は懸濁液の粒径分布に影響を与えず、さらに攪拌又は振動により、ナノ懸濁液は、粒径分布を損なうこと無く容易に再分散可能である。]
[0066] 本書にその製造が記述されたナノ懸濁液は、次に一般の技術を用い、即ち、超音波ネブライザー、圧縮空気ネブライザー、膜ネブライザー、又はナノ懸濁液から、滑らかな(soft)霧状のエアロゾルを生成可能なその他の装置によって、エアロゾル化されてもよい。2〜10ミクロンのサイズ範囲の微粉化粒子を含むマイクロ懸濁液の噴霧(nebulisation)と対照的に、ネブライザー内に大量の薬物残留を残す傾向があるという知識により、本出願に記載の通りに調製されるナノ懸濁液は、ネブライザー容器(reservoir)から薬剤をより効率的に供給し、その結果として容器内の薬物保持を少なくし患者への薬物送達を高めるることがわかった。さらに、微粉化粒子の噴霧の時点で薬剤の分布はより不均一であるものの、粒子が小径であるため、ほとんどのエアロゾル液滴が薬物粒子を運ぶことが期待され得る。従って、ナノ懸濁液は肺により均等でより深く分布され、全体として薬剤を肺に高く沈着させ、そのため更に優れた薬理作用をもたらす。]
[0067] 気道の明らかな感染を治療するために投与される用量は、通常、1日あたり約1 mgから約1000ミリグラムの範囲であり、好ましくは約10から約400mg/日の範囲内である。用量は、1日1回、又は最大で例えば1日あたり4回である複数回、又は集中治療患者などの連続的に治療される患者については連続投与として投与されてもよい。感染症を予防するために、又は急性感染の有効な治療後の増悪を防ぐための治療を維持するために、必要とする用量はもっと低く、好ましくは5 mgから約100 mg/日の範囲である。上記した用量は、平均的な思春期又は大人の人間のニーズに合わせて計算される。体重又は体表面に依存して、個々の患者のニーズに合わせて用量が個々に変更されてよい。病期、肺の感染症の場所、個々の感受性、菌の負荷(strain)及び抵抗などを含むがこれらに限定されない他の要因も、患者に投与される個々の用量に影響を与えるかも知れない。]
[0068] 医薬組成物は、人間又は動物用医薬品での使用に適する。好ましくは、患者は、抗真菌療法、特に気道への投与を必要とする人間、又は鳥若しくはヘビなどの爬虫類などの非哺乳類動物を含むがこれに限定されない哺乳動物である。治療期間は1回投与、又は長期にわたる複数投与である可能性がある。特殊な状況下では、治療は毎日又は薬を使わない期間で区切られた個々の治療コース(treatment course)で、全生涯に関与するかもしれない。]
[0069] 医薬組成物は、真菌感染症、好ましくは肺及び随意に隣接するリンパ組織を含む気道の真菌感染症の予防及び/又は治療に特に適している。特に、医薬組成物は、HIV-患者、臓器移植患者、癌患者、新生児又はコルチコステロイド治療中の患者などの、免疫不全患者又は免疫抑制患者の真菌感染症の予防及び/又は治療に適している。]
[0070] 薬剤投与は、臓器移植患者若しくはHIV-患者、嚢胞性線維症患者若しくは免疫不全若しくは免疫抑制の集中治療下での患者などのリスクがある患者、又は気道真菌感染症の有効な治療を受けた患者の再感染を予防することができる。別の用途は、病気の進行を防ぐため、真菌胞子の高いエアロゾル負荷に曝される患者への投与である。内在的な症状のない暴露又は疑わしい暴露について、このような治療は発症予防(metaphylaxis)と呼ばれる。]
[0071] 病気の症状がすでに明らかであるか、又は感染が検出され若しくは疑われる場合、薬剤投与は治療効果がある。すべての場合において、アゾール誘導体の吸入は、経口又は全身(例えば静脈内)の投与に比べて適すると共に有利である。]
[0072] アゾール誘導体の吸入は、アスペルギルス種、ヒストプラズマ種、カンジダ種、ニューモシスチス種、セドスポリウム(Scedosporium)種、クスダマカビ(Cunninghamella)種、クリプトコッカス種、コクシジオイドミセス(Coccidioidomyces)種、ブラストミセス種、パラコクシジオイドミセス(Paracoccidioidomyces)種、スポロトリクス属種、爪真菌(Onychomyces)種、デーマトフィトン(アオサ藻ミドリゲ目;Dermatophyton)種、シュードアレシェリア症(Pseudallescheria)種、ペニシリウム種及び/又はスコプラリオプシス属カンジダ及び/又はその他の病原性真菌による真菌感染症の予防及び/又は治療に特に適している。]
[0073] アゾール誘導体の吸入は、例えば、アスペルギルス症、ヒストプラスマ症、カンジダ症、クリプトコッカス症、コクシジオイデス症、ブラストミセス症、パラコクシジオイデス症(例えば、パラコクシジオイデス属(Paracoccidioides brasiliensis))、スポロトリコーシス、(例えばスポロトリクス属(Sporothrix schenckii))、爪白癬、及び皮膚糸状菌症(dermatophytoses)の予防と治療に役立つ。その他の治療されるべき潜在的な病原性真菌は、シュードアレシェリア症種(Pseudallescheria boydii)、ペニシリウム菌(Penicillium marneffei)及びスコプラリオプシス属カンジダなどの青カビ種を含むがこれらに限定されない。]
[0074] 医薬組成物は、単独療法又はさらなる有効成分との併用療法として投与されてよい。有効成分は、更なる抗真菌剤、局所消毒薬、抗生物質、コルチコステロイドを含む抗炎症剤、嚢胞性線維症の治療剤、粘液溶解薬(mucolyic)、気管支拡張剤、及びこれらの任意の組み合わせであってよい。これらの有効成分は、吸入を介して共同投与(co-administer)されてよく、又は、抗真菌薬の吸入投与に加えて代替経路(経口又は非経口)を介して投与されてもよい。]
[0075] さらなる抗真菌剤は、アンホテリシンB、フルシトシン、キャスポファンギン、テルビナフィン、ナフチフィン、及びグリセオフルビンを含むがこれらに限定されない。トロバフロキサシン(trovafloxacin)又はシプロフロキサシンなどのフルオロキノロン抗生物質と、アゾール誘導体との組み合わせは、アゾール誘導体の抗真菌活性を高め、従って好ましい抗真菌薬の組み合わせでもある。]
[0076] 局所(経口)消毒薬は、安息香酸、クロルヘキシジン、トリクロサン、チモール、オイカリプトール、サリチル酸メチル、アルコールを含む。抗生物質は、マクロライド系抗生物質、シプロフロキサシン、オフロキサシン、TOBI(登録商標)を含むトブラマイシン、肺感染症の治療に使用されるエアロゾル抗生物質、ゲンタマイシン、アジスロマイシン、セフタジジム、セファレキシン、セファクロル、ピペラシリン、イミペネム又は新規乾燥粉末吸入型抗生物質コリスチン(new dry powder inhaled antibiotic colistin)などの、嚢胞性線維症における感染症の治療に使用される抗生物質を含むがこれらに限定されない。抗炎症剤は、ブデソニド及びフルチカゾンなどのコルチコステロイド(好ましくは吸入型ステロイド)、並びにロフルミラストなどのホスホジエステラーゼ酵素4阻害剤を含むがこれらに限定されない。嚢胞性線維症の治療剤は、ヒトデオキシリボヌクレアーゼ及びN-アセチルシステインなどの粘液溶解薬、サルブタモールなどのβ2-受容体作動薬などの気管支拡張剤、又は臭化イプラトロピウム若しくはテオフィリン、混合型アデノシン拮抗薬/ホスホジエステラーゼ阻害剤などの抗コリン剤を含むがこれらに限定されない。全ての上記した薬剤の組み合わせはうまく共同投与され、又は吸入アゾール誘導体と組み合わせられてもよい。]
[0077] 要約すれば、上記した特徴は、次の予期しない利点を示す医薬組成物をもたらす:
?気道の真菌感染症を治療する更に高い成功率
?高い局所的暴露及び全身暴露の減少による低減された全身性副作用
?無機不溶性粒子汚染に起因する慢性毒性が無いこと
?薬の潜在的相互作用の低減をもたらす全身暴露の減少]
[0078] さらに、本発明は以下の実施例によって詳細に説明されるべきである。]
[0079] 実施例1:湿式粉砕を用いたナノ懸濁液の調製
得られた懸濁液の温度が室温より低くなるよう、すべての懸濁液は粉砕工程中に10℃に冷却された水平粉砕チャンバを用いたパールミル中で粉砕された。粉砕チャンバは80%の粉砕媒体で充填された。懸濁液は、工程中に蠕動ポンプによって循環させられた。]
[0080] 粒子の大きさは、レーザー光散乱により測定された。Z平均は、動的光散乱によって測定されナノメートル(nm)で与えられる、粒子のアンサンブル集団(ensemble collection)の強度加重平均(intensity weighted mean)流体力学的サイズである。]
[0081] それぞれの粉砕装置は、いくつかの企業によって製造され、100 ml未満の小さな体積から100Lを超えるバッチサイズまで変動する、異なるバッチサイズに製造される。以下に示す例では、VMAGetzmann、Reichshof、ドイツによって製造され、蠕動ポンプを供給されるよう変更されたミルが用いられた。粉砕媒体としては、いくつかの異なる粉砕媒体が試みられたが、ほとんどの実験はポリマー粉砕媒体を用いて行われた。使用されたポリマーは:
ポリスチレン:
ポリスチレンは、非常に低密度の極めて丈夫で耐磨耗性の非毒性ポリマーである。ビーズは球形構造で、清浄で埃が無いものであった。粉砕ビーズは、通常、150-900ミクロンの範囲の大きさであった。
ポリカーボネート:
ポリカーボネートビーズは高密度で円筒形の構造であった。それは、磨耗せず、清浄で埃が無い非毒性ポリマーである。円筒ビーズは300〜400ミクロンの直径と500-700ミクロンの長さであった。]
[0082] 使用されたジルコニウム酸化物粉砕ビーズは、球状構造と300-700ミクロンの大きさを有していた。]
[0083] 得られたすべての懸濁液は、水、又は生理食塩液、リン酸緩衝液、エタノール含有水溶液、及び同等のものなどのその他の希釈剤と容易に希釈することができた。粉砕チャンバ内の固体積載量を高くして用いることは、得られた典型的な粒径分布を変えなかった。]
[0084] 実施例1a-eは、界面活性剤としてポリソルベート80を使用したときのイトラコナゾール・ナノ懸濁液の調製を記述する。]
[0085] 実施例1a
1.25gのポリソルベート80が93.75gの再蒸留水に溶解された。5gのイトラコナゾールがこの溶液に添加され、室温でUltra-Turraxを用いて分散させられた。懸濁液は次に、ポリスチレン粉砕媒体で充填された粉砕チャンバに注入され、4時間粉砕された。得られたナノ懸濁液は180 nmの粒径を示した。懸濁液は数ヶ月間安定したままであった。]
[0086] 実施例1b
20gのポリソルベート80が60gの再蒸留水に溶解された。20gのイトラコナゾールがこの溶液に添加され、室温でUltra-Turraxを用いて分散させられた。懸濁液は次に、ポリスチレン粉砕媒体で充填された粉砕チャンバに注入され、4時間粉砕された。得られたナノ懸濁液は162 nmの粒径を示した。懸濁液は数ヶ月間安定したままであった。]
[0087] 実施例1c
1gのポリソルベート80及び2.5gのポリエチレングリコール600が91.5gの再蒸留水に溶解された。5gのイトラコナゾールがこの溶液に添加され、室温でUltra-Turraxを用いて分散させられた。懸濁液は次に、ポリスチレン粉砕媒体で充填された粉砕チャンバに注入され、4時間粉砕された。得られたナノ懸濁液は217nmの粒径を示した。懸濁液は数ヶ月間安定したままであった。]
[0088] 実施例1d
5gのポリソルベート80が90gの再蒸留水に溶解された。5gのイトラコナゾールがこの溶液に添加され、室温でUltra-Turraxを用いて分散させられた。懸濁液は次に、ポリカーボネート粉砕媒体で充填された粉砕チャンバに注入され、4時間粉砕された。得られたナノ懸濁液は229 nmの粒径を示した。懸濁液は数ヶ月間安定したままであった。]
[0089] 実施例1dについて、粒径に及ぼす粉砕時間の影響は:]
[0090] ]
[0091] 実施例1e
1.25gのポリソルベート80が93.75gの再蒸留水に溶解された。5gのイトラコナゾールがこの溶液に添加され、室温でUltra-Turraxを用いて分散させられた。懸濁液は次に、ジルコニウム(circonium)酸化物粉砕媒体で充填された粉砕チャンバに注入され、4時間粉砕された。得られたナノ懸濁液は190 nmの粒径を示した。懸濁液は数ヶ月間安定したままであった。]
[0092] 実施例1f
1.4gのポリソルベート80が88.6gの再蒸留水に溶解された。10gのイトラコナゾールがこの溶液に添加され、室温でUltra-Turraxを用いて分散させられた。懸濁液は次に、ポリスチレン粉砕媒体で充填された粉砕チャンバに注入され、4時間粉砕された。得られたナノ懸濁液は171.5 nmの粒径を示した。懸濁液は数ヶ月間安定したままであった。]
[0093] 実施例1g
2.8gのポリソルベート80が77.2gの再蒸留水に溶解された。20gのイトラコナゾールがこの溶液に添加され、室温でUltra-Turraxを用いて分散させられた。懸濁液は次に、ポリスチレン粉砕媒体で充填された粉砕チャンバに注入され、4時間粉砕された。得られたナノ懸濁液は169.4 nmの粒径を示した。懸濁液は数ヶ月間安定したままであった。]
[0094] 実施例1a-1gの調製されたナノ懸濁液の概要]
[0095] ]
[0096] 実施例1h-iは、界面活性剤としてポロクサマー188を用いたイトラコナゾール・ナノ懸濁液の調製を記述する。]
[0097] 実施例1h
5gのポロクサマー188が90gの再蒸留水に溶解された。5gのイトラコナゾールがこの溶液に添加され、室温でUltra-Turraxを用いて分散させられた。懸濁液は次に、ポリスチレン粉砕媒体で充填された粉砕チャンバに注入され、4時間粉砕された。得られたナノ懸濁液は207 nmの粒径を示した。懸濁液は数ヶ月間安定したままであった。]
[0098] 実施例1i
20gのポロクサマー188が60gの再蒸留水に溶解された。20gのイトラコナゾールがこの溶液に添加され、室温でUltra-Turraxを用いて分散させられた。懸濁液は次に、ポリスチレン粉砕媒体で充填された粉砕チャンバに注入され、4時間粉砕された。得られたナノ懸濁液は212 nmの粒径を示した。懸濁液は数ヶ月間安定したままであった。]
[0099] 実施例1h-1iの調製されたナノ懸濁液の概要]
[0100] ]
[0101] 実施例1j-kは、界面活性剤としてソルトル(登録商標Solutol)HS15を用いたイトラコナゾール・ナノ懸濁液の調製を記述する。]
[0102] 実施例1j
5gのソルトル(登録商標Solutol)HS15が95gの再蒸留水に溶解された。5gのイトラコナゾールがこの溶液に添加され、室温でUltra-Turraxを用いて分散させられた。懸濁液は次に、ポリスチレン粉砕媒体で充填された粉砕チャンバに注入され、4時間粉砕された。得られたナノ懸濁液は201nmの粒径を示した。懸濁液は数ヶ月間安定したままであった。]
[0103] 実施例1k
20gのソルトル(登録商標Solutol)HS15が60gの再蒸留水に溶解された。20gのイトラコナゾールがこの溶液に添加され、室温でUltra-Turraxを用いて分散させられた。懸濁液は次に、ポリスチレン粉砕媒体で充填された粉砕チャンバに注入され、4時間粉砕された。得られたナノ懸濁液は153nmの粒径を示した。懸濁液は数ヶ月間安定したままであった。]
[0104] 実施例1j-1kの調製されたナノ懸濁液の概要]
[0105] ]
[0106] 実施例2:セリウム安定化ジルコニウム酸化物粉砕ビーズと共に湿式粉砕によって得られたナノ懸濁液と比較し、ポリスチレン粉砕ビーズと共に湿式粉砕を用いて得られたナノ懸濁液中の無機不純物の定量]
[0107] 湿式粉砕によって生成されたナノ懸濁液の粉砕媒体の摩耗率は、"誘導結合プラズマ(ICP)"分析によって決定された。ICPは元素の痕跡分析のための分析方法である。]
[0108] 懸濁液は、通常4時間粉砕して調製され、それらはその後に分析された。表5は、ポリスチレンビーズ及びセリウム安定化ジルコニウム酸化物ビーズで粉砕された懸濁液中の決定された摩耗率を示す。粉砕媒体の成分及びミルの部品に従い、分析は鉄、セリウム及びジルコニウム元素について実行された。]
[0109] 表5:ポリスチレンビーズ及びジルコニウム酸化物ビーズの摩耗率]
[0110] ]
[0111] 実施例3:汚染生物(organsim)の低減への粉砕工程の効果
汚染生物の低減への粉砕工程の効果を評価するため、所定レベルの汚染生物が混合された懸濁液が4時間粉砕された。
懸濁液は従来通り調製され、さらにブレブンディモナスディミヌタ(Brevindumonas diminuta)の懸濁液の1ミリリットルが添加され、懸濁液中に22533コロニー形成単位(cfu)/mlの初期微生物数をもたらした。細菌数は、懸濁液をUltra-turraxで前懸濁(pre-suspending)する前後に定量された。その後、懸濁液が粉砕チャンバに注入され、プロセスが開始された。サンプルは30、60、120、180及び240分後に採取された。]
[0112] 表6:プロセス時間を通した細菌数]
[0113] ]
[0114] 実施例4:肺沈着とイトラコナゾールの肺動態(lung kinetics)
この実験では、ウィスター系(Wistar)の雄ラットが利用される。乾燥粉末吸入の肺沈着率を再現するため、直接気管内投与により、イトラコナゾールが乾燥粉末製剤として投与される。次の技術が薬剤投与のために使用される:微粉化結晶イトラコナゾール(粒径約1-5μm)が乳糖(レスピトーゼ(respitose) 325M(登録商標)、DMVテクノロジーズ、オランダ)と1:1の割合で混合される。20mg/kgの合計量、即ち10mg/kgのイトラコナゾールが、小さなプラスチック製チューブに一方が接続されると共に他方で5mlシリンジに接続されるロック可能な一方向止水栓に満たされる。小さなプラスチック製チューブは麻酔下で気管に挿入され、吸気段階(inspiration phase)の間で乾燥粉末が2mlの体積の空気を使用して肺に押し込まれる。この手順は、肺に類似した乾燥粉末吸入器装置の堆積の間中、良好な分配(distribution)を保証する。チューブの先端は、気管分岐部の直前に配置される。]
[0115] 投与後、チューブが引っ込められ、ラットは目覚めたままにされる。投与後で投与が開始してから30分後、6つの異なる時点でラットが殺された後に肺が摘出される。肺組織は均質化され、標準分析法を使用して薬物濃度が決定される。各時点で2匹のラットが標本とされる。]
[0116] 異なるラットのグループが、10%の結晶イトラコナゾール(粒径約100-200 nm)及び1.4%のポリソルベート80(実施例1fに記述された製剤を参照)を含むナノ懸濁液で治療される。この目的のために、麻酔ラットの気管に挿入されるPen Century、英国の装置が利用される。ラットの吸気段階の間、懸濁液が気管内に噴霧される。]
[0117] 投与後の6つの異なる時間間隔の後、3匹のラットのグループは、それぞれ抱水クロラールの過剰摂取を用いて犠牲にされ、肺組織が取り除かれる。イトラコナゾールの組織含量は標準的な手順を使用して分析される。各時点での組織含量が分析され、3匹のラットの値が平均化される。最終的な半減期は、最後の3つの時点から計算される。]
[0118] データは、組織濃度が肺組織(ピークレベル)1g当たり7-20μgに分布することを示す。ナノ懸濁液は、乾燥粉末投与に比べて高いピークレベルをもたらす。化合物は、両方の製剤の肺保持を示す、ナノ懸濁液について約5.2+/-1.9時間、及び乾燥粉末製剤について約7時間の半減期で肺から除去される。]
[0119] 実施例5:免疫不全NMRIマウスに吸入により投与されたイトラコナゾールの治療効果
この実験のため、リープマン(Liebmann)らによって記述された方法が使用された(リープマンら、2004:侵入性アスペルギルス症の低用量マウス感染モデルでの弱毒性をもたらす、ホモアコニターゼ(homoaconitase)をコードするアスペルギルス・フミガーツス・リシン生合成遺伝子lysFの欠失、Archives of Microbiology 181, 378-383)。]
[0120] 簡単に、140から150gの重量の雄SD(Sprague-Dawley)ラットが、酢酸コルチゾン(週3回、皮下に100 mg/kg)、飲料水を介したテトラサイクリン、及び低タンパクの食事を受けた。この療法で2週間後、動物は気管を介して、0.1 mlの滅菌食塩水中のA.フミガーツスH11-20の106分生子の懸濁液に感染させられた。すべての試験で、各治療群又は対照群は8又は10匹の動物から構成された。ほとんどの試験は合計6つのグループを含んだ。結果は、生存分析及び肺の組織病理学的検査によって判断された。剖検での動物の組織は生理食塩水(9ml/g)で均質化され、スライドがトルイジンブルー-Oで染色された。すべての手術および投与中、すべての動物はエンフルランで麻酔された。瀕死の動物は二酸化炭素ガスで犠牲にされた。生存分析は、カプラン・マイヤー(Kaplan - Meier)プロット及びログランク(log rank)試験で行われた。0.05以下のp-値は有意と考えられた。]
[0121] 治療計画
経口治療について、動物は感染後(postinfection)に1週間免疫抑制療法を受け、続いて接種前の日から、又は7日間のプラセボと共にその日から、10 mg/kgの用量でイトラコナゾールを1日2回経口で治療された。]
[0122] エアロゾルの治療について、4又は5匹のラットのグループは、圧縮空気(4L/分)で懸濁液を霧状に(nebulise)する"Pariboy"吸入ネブライザーに結合された、プレキシガラスチャンバ内に置かれた。動物は、霧状のイトラコナゾール懸濁液を1日2回(午前7及び8時の間、並びに午後3及び4時の間)、15分間呼吸させられた。治療は接種後6時間行われ、毎日続けられた。ビヒクル処理動物(Vehicle animal)は1.4%ポリソルベート80を含むビヒクル溶液(vehicle solution)を与えられた一方、本物(verum)で処理された動物は10%イトラコナゾール及び1.4%ポリソルベート80の懸濁液(実施例1fから採取されたもの)を吸入された。]
[0123] 両方のビヒクル対照群(vehicle control)マウスが3日目に死亡し始め、対照群の12匹のラットのうち11匹が9日目までに死亡した一方、12匹のラットのうち8匹が14日目まで生き残ったことは、エアロゾルナノ懸濁液の形で吸入によって投与されたイトラコナゾールの明確な治療効果を示す。経口治療された対照群では、12匹のマウスのうち10匹が9日目までに死亡し、治療がこのグループで失敗したことを示す。]
[0124] 2番目の実験では、雄のbalb- cマウスが用いられた。すべてのグループの動物は、-4、-1、0、2、5及び8日目に、100 mg/kg体重のシクロホスファミドを使用して免疫抑制された。-1日目に、動物は100 mg/kgのシクロホスファミドを腹腔内に((i.p.)及び200 mg/kgの酢酸コルチゾンを皮下に(感染前24±2時間)与えられた。さらに動物は、上記の調査で記述されたのと同じ吸入装置を使用したイトラコナゾールの吸入により、治療された。0日目では、動物は2.5×104のA.フミガーツス分生子で鼻腔内に感染させられた。]
[0125] 感染後、動物は次の14日間、1日あたり3-5回観察され、免疫抑制治療が2、5および8日目に続けられた。さらに、マウスの参照グループが、アンホテリシンBを腹腔内に毎日3 mg/kg使用して治療された。]
[0126] 薬剤効果は、動物の生存数として評価された。予想通り、12匹の対照(control)動物のうち9匹は感染後6日目に既に死亡し、残りの動物は1匹を除いて9日目までに死亡した。上記したように治療された、即ち1日2回、イトラコナゾールの10%エアロゾルを使用した動物について、強い効果が見られた。6日目までに1匹も動物は死亡せず、12匹のマウスのうち3匹だけが観察期間の終わりに死亡した。この効果は、3匹の動物だけが死亡した6日目は生存率が良いが、観察期間の終わりにアンホテリシンBで治療された12匹のマウスのうち9匹が死亡したアンホテリシンBについて観察された結果より優れていた。]
[0127] 実施例6:吸入イトラコナゾールの安全性と忍容性
吸入イトラコナゾールの忍容性を評価するため、圧力で駆動する吸入装置に接続された暴露チャンバを用い、ラット(ウィスター系ラット(Wistar rats)、212-248g)が暴露された。エアロゾル治療については、2つのラットのグループが、円錐形の入口及び出口部、並びに平らな底部を有するプレキシガラスチューブ(長さ:28cm、直径:14cm)内に置かれ、チューブは、圧縮空気(4L/分)で懸濁液を霧状にする"Pariboy"吸入ネブライザーに接続された。定常流を可能にし、さらに分配(distribution)も可能とするため、ネブライザーは短管(長さ:10cm、直径:22mm)を介してチャンバに接続され、チャンバ内の動物室は、それぞれ直径3mmの84個の小孔が開けられた壁で入口から区切られた。この方法により、吸入チャンバの円錐部がスペーサとして機能した。同様に、出口も同様のスペーサで区切られた。このチャンバの構造は、霧状の化合物が吸入開始後25秒内に均一に分布することを可能とする。動物は、霧状のイトラコナゾール懸濁液を毎日1回30分間(午前8から10時の間)吸気することを許容された。8日目で最終投与後24時間に、ラットは抱水クロラールの過剰摂取により麻酔をかけられた。腹部大動脈を開くことにより、ラットは貧血になった(exsanguined)。肺が取り除かれ、4%緩衝ホルムアルデヒド溶液で満たされ、さらに4%ホルムアルデヒドに浸漬することにより組織学的検査の準備がされた。HE染色の後、組織学(Histology)が実行された。さらに、動物は全体の病理学が検査された。次のグループが試験された:グループ1:空気対照群(air control);グループ2: 7日間毎日1回30分のビヒクル暴露(vehicle exposure);グループ3:7日間毎日1回30分のイトラコナゾール。ビヒクル処理動物は1.4%ポリソルベート80を含むビヒクル溶液を与えられ、一方、物で処理された動物は、実施例1fで採取された10%イトラコナゾールと1.4%ポリソルベート80の懸濁液を吸入させられた。]
[0128] 結果
行動:すべてのグループで、行動異常が観察されなかった。化合物の治療は忍容性が良好であり、すべての動物は同様な体重増加を見せた。
病理学:切片中に所見は見られなかった。
組織学:ラットのすべての3つのグループが検査された。粘膜異常は観察されなかった。内腔でも組織内でも化合物の沈着は見られなかった。軽度から適度の顆粒球及びリンパ球(lymphotyte)湿潤が観察されたが、この結果はすべての3つの投与群と同様であった。]
実施例

[0129] 要約すると、ナノ懸濁液(実施例1f)としてのイトラコナゾールの吸入投与は、忍容性が良好であった。使用されたポリソルベート80の含有量、即ち1.4%絶対値、又はイトラコナゾールの含有量に対して14%は、粘膜表面又は肺の組織に影響を与えなかった。]
权利要求:

請求項1
活性剤としての少なくとも1つの抗真菌性アゾール誘導体、任意の薬学的に許容できる希釈剤及び/又はアジュバントを含む吸入投与用医薬組成物であって、前記医薬組成物は、<10000μg/Lの無機粒子不純物を有し、かつa)少なくとも1つの抗真菌性アゾール誘導体、並びに任意の薬学的に許容できる希釈剤及び/又はアジュバントを準備し、及びb)パールミル、及び少なくとも1つの有機材料から成る滑らかな粉砕ビーズを用いて、前記少なくとも1つの抗真菌性アゾール誘導体、並びに前記任意の薬学的に許容できる希釈剤及び/又はアジュバントを湿式粉砕する:工程を含む方法によって得られることを特徴とする医薬組成物。
請求項2
前記抗真菌性アゾール誘導体は、約50nmから約400nmの範囲、好ましくは約100nmから約300nmの範囲、最も好ましくは約150nmから約250nmの範囲の平均粒子径を有する粒子の形で存在することを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
請求項3
前記抗真菌性アゾール誘導体は、≦0.3、好ましくは≦0.25、最も好ましくは約0.2の多分散性指数を有する粒子の形で存在することを特徴とする請求項1又は2記載の医薬組成物。
請求項4
前記抗真菌性アゾール誘導体は、該医薬組成物の総重量を基にして、約10%(w/w)から約30%(w/w)の濃度、好ましくは10%(w/w)から20%(w/w)の濃度、最も好ましくは12%(w/w)から18%(w/w)の濃度で存在していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の医薬組成物。
請求項5
前記抗真菌性アゾール誘導体は、ケトコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール、エベルコナゾール、ポサコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ミコナゾール、オキシコナゾール、テルコナゾール、チオコナゾール、スルコナゾール及びラブコナゾールの群から選ばれることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の医薬組成物。
請求項6
前記薬学的に許容できる希釈剤は、水、又は水性緩衝液又はそれらと生理的に許容可能なアルコールとの混合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の医薬組成物。
請求項7
前記生理的に許容可能なアルコールは、エタノール、プロピレングリコール及び/又はグリセロールであることを特徴とする請求項6に記載の医薬組成物。
請求項8
前記薬学的に許容できるアジュバントは、親水性高分子であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の医薬組成物。
請求項9
前記親水性高分子がポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール及び/又はポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項8に記載の医薬組成物。
請求項10
前記薬学的に許容できるアジュバントは、界面活性剤であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の医薬組成物。
請求項11
前記界面活性剤は非イオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項10に記載の医薬組成物。
請求項12
前記界面活性剤は、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体、ポリソルベート、レシチン、リン脂質又はポリエチレングリコールエステル又は脂肪酸及び/若しくは脂肪アルコールのエーテルであることを特徴とする請求項10又は11に記載の医薬組成物。
請求項13
前記界面活性剤は、ポリソルベート80、ポロクサマー188、ソルトルHS15、又はそれらの任意の組み合わせであることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の医薬組成物。
請求項14
前記少なくとも1つの抗真菌性アゾール誘導体及び界面活性剤を、10:1〜1:1の間の質量比で、好ましくは10:1〜10:2の間の質量比で、最も好ましくは約10:1.4の質量比で含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の医薬組成物。
請求項15
前記有機材料は、ポリスチレン及びポリカーボネートの群から選ばれることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の医薬組成物。
請求項16
投与される用量が1日あたり約1mg〜約1000mgの範囲、好ましくは1日あたり約1 mg〜約400 mgの範囲であることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の医薬組成物。
請求項17
真菌感染症、特に口腔、咽頭、喉頭及び/又は肺を含む気道の真菌感染症の予防、治療及び/又は発症予防に用いられる請求項1〜16のいずれかに記載の医薬組成物。
請求項18
前記真菌感染症は、アスペルギルス種、ヒストプラズマ種、カンジダ種、ニューモシスチス種、セドスポリウム種及び/又はクスダマカビ種、クリプトコッカス種、コクシジオイドミセス種、ブラストミセス種、パラコクシジオイドミセス種、スポロトリクス属種、爪真菌種、デーマトフィトン種、シュードアレシェリア症種、ペニシリウム種及び/又はスコプラリオプシス属カンジダによる感染であることを特徴とする請求項17に記載の医薬組成物。
請求項19
人間医薬用の請求項1〜18のいずれかに記載の医薬組成物。
請求項20
免疫不全又は免疫抑制患者の真菌感染症の予防及び/又は治療のための請求項1〜19のいずれかに記載の医薬組成物。
請求項21
HIV感染患者用の請求項1〜19のいずれかに記載の医薬組成物。
請求項22
臓器移植患者用の請求項1〜19のいずれかに記載の医薬組成物。
請求項23
癌患者用の請求項1〜19のいずれかに記載の医薬組成物。
請求項24
新生児用の請求項1〜19のいずれかに記載の医薬組成物。
請求項25
嚢胞性線維症にかかった患者用の請求項1〜19のいずれかに記載の医薬組成物。
請求項26
コルチコステロイド治療を受けている患者用の請求項1〜19のいずれかに記載の医薬組成物。
請求項27
獣医薬用の請求項1〜18のいずれかに記載の医薬組成物。
請求項28
追加の薬との併用療法のための請求項1〜27のいずれかに記載の医薬組成物。
請求項29
局所消毒薬、抗生物質、コルチコステロイドを含む抗炎症剤、嚢胞性線維症の治療薬、粘液溶解薬、気管支拡張剤、追加の抗真菌剤、及びそれらの任意の組み合わせから選ばれる追加の薬との併用療法のための請求項1〜28のいずれかに記載の医薬組成物。
請求項30
a)少なくとも1つの抗真菌性アゾール誘導体、並びに任意の薬学的に許容できる希釈剤及び/又はアジュバントを準備し、及びb)パールミル、及び少なくとも1つの有機材料から成る滑らかな粉砕ビーズを用いて、前記少なくとも1つの抗真菌性アゾール誘導体、並びに前記任意の薬学的に許容できる希釈剤及び/又はアジュバントを湿式粉砕する:工程を含む、請求項1〜29のいずれかに記載の医薬組成物の調製方法。
請求項31
前記湿式粉砕が約60分から約360分、好ましくは約120分から約240分行われることを特徴とする請求項30に記載の医薬組成物の調製方法。
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引用文献:
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优先权:
申请号 | 申请日 | 专利标题
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